この本は一般社団法人終活協議会(以下、終活協議会という)で代表理事をされている竹内義彦さんが書かれた本です。
同氏は全国各地から寄せられる相談の対応に、自分以外の専門家(終活スペシャリスト)を増やすと決意され、終活協議会を設立されたそうです。
誰にでも関係がある終活
本の前半では老後に備えておくべきことについて書かれています。
現代は人生100年と言われるくらい長寿社会になりました。
家族の形態もかつての三世代同居から今では夫婦だけの二人世帯も増えました。
公的年金についても、ゆとりがある生活をするには不足するように報道され、心配の種がつきません。
だからこそ、認知機能がしっかりしている今のうちに「備え」が必要だとこの本は説いています。その備えがすなわち「終活」です。
「終活」という言葉は、2009年に週刊朝日が最初に使ったそうです。
それから「終活」ブームが到来して、自分でできることは自分でしようという高齢者が増えたとのこと。
その一方、「孤独」や「生きがいのなさ」、「お金の問題」というお年寄りの不安も大きくなったそうです。
終活を進めていく上で、典型的な問題としては以下のことがあるようです。
- 延命措置の意思表示ができていないと、その判断で子どもを悩ませることになる。
- 介護認定では、プライドの高い人はボケを認めたくなく、介護認定自体を嫌がる。
- 退職を機に親が生命保険を勝手に整理し、入院特約がなくなり予想以上に医療費がかかった。
- 相続問題が家族のもめごとに発展。
- 葬儀の方法、親は「直葬(お通夜もお葬式もせず火葬場へ送り出す)」で言い残したが、いざ直葬にすると予想以上に大変だった。
- お墓の問題。遺骨をどこに納骨するか決まっていない。
- 不明な銀行口座。故人がどの銀行にどの口座が開設されているのか調べるのが大変だった。
これらに加えて老後資金のことも心配になります。
終活スペシャリスト
しかし、これだけ多岐にわたる問題をひとりで解決するとなると、なかなか困難なことだと思います。
そこで終活協議会は終活スペシャリストを提案しています。
困った時に相談したくなるような身近な人のイメージです。
終活スペシャリストがおさえるべき6つの基本ジャンルというのがあるそうです。
それは「医療」、「介護」、「保険」、「相続」、「葬儀」、「お墓」のことです。
「医療」では終末期医療の意思表示。
自分の意思をエンディングノートなどで子どもに伝え、医師には、「尊厳死宣誓書」で伝えるといいそうです。
回復する病気も多いので、予後を穏やかに過ごすには、地域の医療情報にも詳しくないといけません。
「介護」の分野では主に介護保険。
さまざまなケアプランがありますから、自分の望んでいる介護を受けたいですね。
「保険」は大きく公的保険と民間の保険にわかれます。
通院の場合は高額医療費制度でカバーできることが大部分です。
しかし、入院すると差額ベッドなどで医療費が高額になります。
その部分は民間保険の入院特約でカバーすることが大事。
また、最近では余命を宣告されて保険金が支払われるリビングニーズ特約も。
最後の時間を自分のしたいことに使うという選択もできます。
民間保険の場合は、どの保険に加入しているか把握しておくことがポイントになります。
「相続」については「うちには争いになるほど財産はない」と言いますが、実際には財産が少ないほど、その財産を巡って争いになることが多いそうです。
遺族がもめて、家庭裁判所で争う姿は想像したくありませんね。
そういう問題を未然に防ぐのが遺言です。
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。確実なのは公正証書遺言だそうです。
法的拘束力があり、公正役場で保管されるとのこと。
相続税については控除等があり、実際に相続税が課税されるのは相続の8.5%だそうです。
ただし、土地と証券などは扱いが違うらしく、このあたりも専門的な知識が必要ですね。
「葬儀」についても費用の幅があり、大手の葬儀社だと200万円程度、地元密着の葬儀社だと100万円程度。
直葬だと20万円程度が平均的な金額だそうです。
葬儀の場合、検討する時間もなく、葬儀社の見積もり通りでしてしまうことも多いでしょう。
あらかじめ調べておいた方が良さそうですね。
「お墓」については、墓地(寺院墓地、公営墓地、民営墓地)、納骨堂、樹木葬があります。
これらの「医療」、「介護」、「保険」、「相続」、「葬儀」、「お墓」について、自身の希望をエンディングノートにまとめることを地方自治体も薦めています。終活協議会でもエンディングノートを発行しているそうです。
エンディングノートを書くコツというのは、「まず、書けそうなところから書く」とのこと。
また、最近ではデジタル遺品というのも増えているそうです。
それはスマホ・パソコンと、そのデータだったり、インターネットに登録したアカウントであったりするそうです。
メールなど家族に見て欲しくない内容のものがあれば、そのようにエンディングノートに書いておく必要がありますね。
また、契約解除しないと料金を支払い続けることになるサービスもあるため、パスワードもわかるようにしておく必要があります。
もちろん、「医療」、「介護」、「保険」、「相続」、「葬儀」、「お墓」の問題を自分で解決して、エンディングノートに書いておけば、それでもいいと思います。
しかし、これだけ多岐にわたると、終活スペシャリストに助けて欲しくなりますね。
終活スペシャリストの資格「終活ガイド」
この終活スペシャリストを終活協議会では「終活ガイド」と呼びます。
終活ガイド資格には1級~3級があり、終活ガイドとは別にエンディングノート認定講師講座もあるそうです。
協議会は終活ガイドのキャリアやスキルアップだけでなく、安定的に終活ガイドの収入につながる事業もしています。
一例では遺品整理などで遺族から終活ガイドに相談があった場合、終活ガイドは終活協議会を介して遺品整理業者に遺品整理を依頼します。
その時、紹介料が終活ガイドに支払われるそうです。
この本の後半には現場の終活ガイドの声が紹介されています。
高齢の世代にいきなりエンディングノートを書きましょうと言うとなかなか書いてくれないと思ったので、「40代からはじめるエンディングノート講座」を開いて、親子でエンディングノートを書くようにした終活ガイドの工夫の例。
自分が成年後見人をしていた人が亡くなり、エンディングノートがなくて何も進まない現状を見て、自分自身もおひとりさまなので、これを機に終活ガイドを取得したという人の話。
終活をポジティブにとらえ、自身の有料講座を「終活いきいきセミナー」や「終活わくわくセミナー」という名前で開催している終活ガイドもいました。
終活について考えると、延命に関する意思表示、遺産配分、身辺整理などは、残された人が困らないようにする。そして同時に、「自分自身がこれからどう生きるか」を整理することです。
「終活は過去を整理するのではなくて、未来へ向けて一歩踏み出すことなのです」
この終活スペシャリストを終活協議会では「終活ガイド」と呼びます。終活ガイド資格には1級~3級があり、終活ガイドとは別にエンディングノート認定講師講座もあるそうです。
協議会は終活ガイドのキャリアやスキルアップだけでなく、安定的に終活ガイドの収入につながる事業もしています。
一例では遺品整理などで遺族から終活ガイドに相談があった場合、終活ガイドは終活協議会を介して遺品整理業者に遺品整理を依頼します。
その時、紹介料が終活ガイドに支払われるそうです。
この本の後半には現場の終活ガイドの声が紹介されています。
高齢の世代にいきなりエンディングノートを書きましょうと言うとなかなか書いてくれないと思ったので、「40代からはじめるエンディングノート講座」を開いて、親子でエンディングノートを書くようにした終活ガイドの工夫の例。
自分が成年後見人をしていた人が亡くなり、エンディングノートがなくて何も進まない現状を見て、自分自身もおひとりさまなので、これを機に終活ガイドを取得したという人の話。
終活をポジティブにとらえ、自身の有料講座を「終活いきいきセミナー」や「終活わくわくセミナー」という名前で開催している終活ガイドもいました。
終活について考えると、延命に関する意思表示、遺産配分、身辺整理などは、残された人が困らないようにする。
そして同時に、「自分自身がこれからどう生きるか」を整理することです。
「終活は過去を整理するのではなくて、未来へ向けて一歩踏み出すことなのです」
終活協議会
終活ガイドの資格取得費用も他社に比べると安く、内容が充実しているそうです。
また、この講座で習った知識を活用し、自治体の出前講座をしている公務員・終活ガイドの話も書かれていました。
終活ガイドが口をそろえて言うのが、終活協議会のバックアップです。
収益につながる仕組みや、さまざまな立場・職業の人がガイドになっているので人的ネットワークが豊富で充実している。
終活協議会にはノウハウが蓄積されているので問い合わせをすれば、具体的な解決手段を提示してくれるなど。
これらは終活協議会のスタンスに答えがあります。
許認可のない玉石混交の終活業界で、悪徳業者に勝つためには、「終活協議会」自身がメジャーにならなければいけないという強い決意です。
そのために、終活ガイド資格取得者へのサポートは徹底し、仕事になるように集客からSNS、Zoomの開催方法の手順に至るまで手助けしているそうです。
2035年には、二人に一人は「おひとりさま」になるそうです。
なかなか厳しい将来が待っていると思います。終活協議会は入会金1万円で「心託(しんたく)」というサービスをしており、身元保証人や成年後見人の世話をしてくれるそうです。
そして、「追加料金」は取らない。残りのお金は生きているうちに使う。
「今」を存分に楽しむというスタンスには、一本筋が通っていると感じました。
著者の希望は「誰もが生き生きと最後まで自分らしい人生を送れるような社会を作ること」とのこと。
多岐にわたる老後の準備は、半径2キロにいる終活ガイドがサポートする。
終活ガイドがたくさんいれば、お年寄りの孤独死や振り込め詐欺などの犯罪に巻き込まれることも減るのではないかと言われます。
そして、終活ガイド自身も地元に根をはって活動することで、自然にコミュニケーションが拡がっていく。
こんなことをあとがきで書かれています。
私も終活ガイドになりたいと思った
私もエンディングノートの存在は知っていました。
しかし、書かなければいけないことが、これほどたくさんあるとは思ってもいませんでした。
エンディングノートを整理していないと、自分の子どもに大変なおもいをさせると思えば、しっかり書きたいと思いました。
エンディングノートを作る時に終活ガイドが一緒にいたり、講座をしてくれたりすればとても安心できますね。
終活にはわからないことがたくさんあります。
私も50代なので、当事者として本当にそう思いました。
この本のタイトルである「終活スペシャリストになろう」。
表紙にも書いてある「収入になる」、「地域貢献になる!」、「周りの人のためになる!」という言葉。
たしかに、終活ガイドはそんな「他人のため」、「自分のため」になる資格だとわかりました。
そして終活協議会が終活ガイドを増やして安心して暮らせる社会を作りたい。
そのために終活ガイドが持続的に活動しやすいように収入を得られるようにしているのだと思いました。
また、本の後半、終活ガイドの体験談は読み応えがありました。
「仲間」や「生きがい」をもって、みなさん活動されている様子が手に取るようにわかります。
この本を読むと、自分自身も終活ガイドの資格を取りたくなりました。
この本は「終活」とは具体的にどんなことをする必要があるのか。
エンディングノートにどんなことを書いたらいいのかわからないという人にオススメです。
また、終活協議会の終活ガイドがどんな活動をしているのかを知りたい人にも最適な本です。
最後は、本の帯の言葉で締めくくろうと思います。
「終活のスペシャリストになったら、自分も、周りも、輝きだした!」