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葬儀費用の払戻しについて


葬儀費用の払戻しについて

大切な家族が亡くなってしまった時に、心配になることと言えば、あなたはどんなことを思い浮かべるでしょうか。葬儀会社をどこにするか、どれくらいの規模のお葬式にするかなど、考えなくてはいけないことがたくさんあります。その中でも多くの人が最も気にかけることと言えば、やはり葬儀費用についてではないでしょうか。家族を亡くして気分が滅入っている時に、お金に関することで頭を悩ませるのは、想像以上に酷なことです。ですから、その時になって困ってしまうことを避けるために、家族みんなが元気なうちに、もしもの時にかかるお金について相談したり、事前に知識をつけてたりして、準備しておくことが大切なのです。
この記事では、お葬式にかかる費用と、その捻出方法としてある相続預金の払戻し制度について、わかりやすく説明します。

まず、いざという時に焦らないためにも、一般的な葬儀の相場について知っていきましょう。
これから紹介するのは、家族のみで行う家族葬や、通夜や告別式を行わない直葬ではなく、多くの人が葬儀としてイメージするようなごく一般的なお葬式の費用です。
一般的なお葬式にかかる費用は、日本消費者協会による調査によれば「約195万円」となっています。これは、お通夜に50~150名、告別式に10~20名が参列するような規模のお葬式のものです。参列者の人数に加えて、お葬式には地域によって慣習などにばらつきがあるため、それらを加味すると、お葬式の相場は180~200万円になるのが一般的なようです。

お葬式を行う際には、200万円近くのお金をすぐに工面しなくてはなりません。喪主の方にそれだけの蓄えがあれば、すぐに準備することも可能ですが、そういう訳にもいかないご家族もいるかと思います。そんな時、故人が遺した預金を使うことが出来たら、どんなに負担が軽くなることでしょうか。しかし故人の預金からの払戻しは、想像以上に難しいのが実情です。というのも、故人が遺した預金というものは、相続財産の一部として扱われ、後に行われる遺産相続の対象となるため、預金口座の名義人が亡くなると、すぐに口座が凍結されてしまうからです。こうなると、故人の口座から預金を引き出し、お葬式を行うために使う、などということはできなくなってしまいます。
このような事態に陥らないためには、万が一の時に備えて、事前に葬儀費用としてまとまったお金を家族に預けておくのが望ましいですが、準備を整える前にその「万が一」が起きてしまう可能性は当然あります。

葬儀費用の払戻しできる場合

このように、相続預金の一部を葬儀費用に充てることには、なかなかのハードルがありました。
しかし昨今、この状況が打開される大きな変化がありました。それは、2019年7月に施行された「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」です。この制度が整備されたことで、相続預金の払戻しが可能になり、個人の預金を葬儀費用として使用できる可能性が出てきました。
では、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」とは、どういった制度なのでしょうか。

簡単に説明すると、故人の家族などのいわゆる相続人が、葬儀費用の捻出や生活費のためにどうしてもお金が必要となった時に、財産の分割が終わる前であっても、故人の遺した預金を払戻しできるようにしよう、というのがこの制度の大枠です。
この制度を利用するには、必要な書類を集めて提出することが必要です。加えて、それらの内容を確認し、不備がないかをチェックするために、ある程度の時間も必要になります。また、払戻されるお金は故人の口座にある預金全額ではなく、「一定額」とされています。この「一定額」がどれほどになるかは、いくつか細かい要件があり、一概に「いくら」と言えるものではありません。

しかし、この制度にも難点があります。それは、制度を利用するために必要な書類が多いことと、実際にお金が手元に来るまでに時間がかかることです。
前者に関しては、制度を利用するのに家庭裁判所の判断を経るか否かで、必要になってくる書類が違ってくるのですが、もっとも多い場合でも、「亡くなった人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)」・「相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書」・「預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書」が必要になります。これらは、相続の手続きに必要な書類とほぼ同じものです。これらすべてを集めるには、それなりの時間と手間が必要になりますし、「相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書」にいたっては、相続人が数多くいる場合、それだけ多くの手間が必要になってしまいます。

また、制度を利用するためにこれほどの書類を集めなくてはいけないのですから、実際に預金が払戻されるまでには、それ相応の時間が必要になってきます。ケースバイケースですが、必要書類を集めるのに数日~数週間ほどの時間がかかります。加えて、銀行などの金融機関に届け出をして、実際にお金が払戻されるまでに2週間ほどかかってしまいます。

葬儀費用の払戻しについて、まとめ

葬儀費用の払戻しについて、まとめ

ある程度まとまったお金が必要になるお葬式ですが、昨今施行された「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」という制度によって、故人の預金をその費用に充てることが出来る可能性が出てきました。
しかし、この制度を利用して相続預金の払戻しを行うには、たくさんの書類を準備する手間と時間が必要であったり、実際にお金が手元に来るまでに結構な時間がかかってしまうのも現実です。
家族が亡くなってしまった時に、すぐに故人の口座が凍結され、家族でも手を付けられなかった時代に比べれば、この制度のおかげで、遺された家族が自分たちの生活費に困るような場面が減ってきた、と言えるでしょう。
しかし、こと葬儀費用に関しては、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を利用したとしても、前述したとおり、実際に手元にお金が来るまでにそれなりの時間がかかってしまいますから、払戻されたお金を直接お葬式の費用に充てるのは、なかなか難しいものがあります。最近では、お葬式にかかるお金の支払いも即日払いが絶対ではなくなってきたものの、それでも地域によっては、葬儀を行うために一定程度のまとまったお金がすぐに必要なのも事実です。

以上のようなことから、お葬式にかかるお金を工面する方法として、はじめから「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」による故人の預金から払戻されるお金をあてにするのは、得策ではないと言えます。
このような制度があることを知るのは、いざという時に役に立つ可能性はありますが、「制度があるからなんとかなる」とたかをくくるのはおすすめできません。
家族みんなが元気なうちに、「もしもの時にどうするか」を話し合い、事前にまとまったお金をお葬式を行うために預かっておくなどの対策を取ることが大切です。
また、お葬式にかかるお金を工面する方法には、遺された家族や故人の預金だけではなく、各種保険を活用することも可能です。いざという時には、社会保険や国民健康保険による葬儀費用の補助を受けることや、そうなる前に生命保険や葬儀費用を支払うための葬儀保険に入っておくなど、お葬式にかかるお金を工面する方法はいろいろあります。

人生の最期は、誰にでも等しく訪れるものです。その時に遺された家族が困らないよう、今からできることを準備しておくことが肝心です。「死」について考えることは、気分が滅入ってしまうとか不吉な感じがするなどと敬遠されがちですが、いつか必ずやってくるその日のために、まずは家族みんなで話し合うことが大切です。