人の死は、ある日突然来ることが多く、家族にはその準備がないケースも少なくないでしょう。
以前は葬儀には高額な費用がかかるのが当たり前のようになっていました。
しかし、その費用を早急に用意するのは家族にとっても大きな負担になることです。
冠婚葬祭互助会は、こうした負担をなるべく軽減し、事前に積み立てをしておくことで負担なく冠婚葬祭を行える仕組みです。
この記事では、将来の冠婚葬祭に備えるため互助会の加入を考えている方に、冠婚葬祭互助会の仕組みや積立金、提案されるプラン、退会についてなど、互助会に加入する際に知っておいたほうがいいお金の仕組みについて詳しくご紹介していきます。
冠婚葬祭のお金のことというのは、なかなか人に聞けないことでもありますので、ぜひこの記事を最後まで読んで、冠婚葬祭互助会のお金のことや積立金のことについて知識をつけていただきたいと思います。
冠婚葬祭にかかるお金と互助会
冠婚葬祭は大きな費用がかかるというイメージがありますが、実際はどのぐらいかかっているのでしょうか。
最近の傾向も併せてチェックしていきましょう。
冠婚葬祭にかかるお金の総額と内訳
結婚式
まず、結婚式にかかる費用は平均で約360万円といわれています。内訳として、次のような費用がかかります。
- 挙式会場代
- 披露宴会場代
- 招待客の飲食代
- 衣装代
- 装飾代
- サービス費
- その他
結婚式では、招待客の飲食代が大きな費用となりますが招待客からはご祝儀があります。
ご祝儀の平均は180万円程度といわれています。
その他に、家族や親族からの援助を受けたり、会社や区市町村からのお祝いをいただくこともあります。
それらを考えると、結婚式にかかる費用360万円のうち、自分たちで負担する金額は100万円~150万円と考えておけばいいかもしれません。
また、結婚式は、結婚を考えた時点で、貯めていけばいいので、お金のことで困ったことになるというのは、それほどないのではないかと思われます。
葬儀
では冠婚葬祭のうち、葬祭にはどのぐらい費用がかかるのかチェックしていきましょう。
葬儀にかかる費用の平均相場は、2020年の調査では約208万円でした。内訳としては下記のようになっています。
- 葬式費用 119万円(火葬場使用料、葬儀会場費、人件費等)
- 飲食接待費 31万円(通夜振る舞い、精進落とし等)
- 返礼品費 34万円(返礼品、香典返し等)
- 宗教者関係費用 24万円(読経料、戒名料等)
葬儀の際に受け取る香典の合計金額の平均は88万円という調査結果がありますので、こうした平均金額で考えると、約120万円が遺族の負担となります。
葬儀の場合は、結婚式と違っていつ起きるかが分からないため、思いのほか費用がかかり、すぐにお金が用意できずに困るということは考えておかなければなりません。
冠婚葬祭の予算の傾向
バブルの頃をピークとして、大規模で派手な演出の冠婚葬祭のセレモニーが多く執り行われました。
その後、バブルの崩壊とともに招待客の数など規模が縮小し、少子化・晩婚化・未婚化の影響で結婚するカップル数も減少傾向にあります。
結婚式の数が減っていく中で、それぞれの好みや価値観にこだわった結婚式を挙げたいというニーズから、ここ10年ほどは結婚式1件当たりの単価は上昇しています。
結婚式の件数が減る傾向とは反対に、高齢化の影響で葬儀の数は増えてきています。これから成長が見込めるマーケットということで、葬儀業界には様々な分野から新たに進出してきています。
昔は葬儀に関する情報も少なく、どのぐらいの費用がかかるのかといった話をすることが少なかったこともあって、1件当たりの単価は高めでしたが、新規参入業者が増えたこともあって価格競争が起きるようになりました。
また葬儀の形式も、以前のような豪華な祭壇を設営する方式からコンパクトな形で家族だけで行う家族葬が増えてきました。このことも1件当たりの単価が低下している要因となっています。
冠婚葬祭のお金と互助会
高度成長期に、若い人を中心として都市部に人口が集中しました。集合住宅に住む人が増え、地方では自宅で執り行われていた結婚式や葬式は、専用の式場・会館でやるスタイルが一般に広まりました。
それに伴い、冠婚葬祭にある程度費用もかかるようになり、まとまった金額のお金を用意しておく必要が生じてきました。
そこで、月々のわずかな金額の積立金で負担なく備えるという互助会の仕組みに加入する人が増えていきます。
互助会に加入することで、式典にかかる費用の割引サービスがあったり、互助会が所有する専門施設を優先的に利用することができるといったメリットがあるということも加入する理由となりました。
その後、時代とともに結婚式や葬儀に対する考え方も多様化し、あまり大げさにしたくない、自分らしい形にしたいという人も増えて、冠婚葬祭にかけるお金も変わってきています。社会の変化が冠婚葬祭の在り方にも影響しているのです。
こちらの記事では、「互助会は必要なのか」というテーマで詳しくまとめております。ご参照ください。 続きを見る
【冠婚葬祭互助会は必要か?】これまでの互助会の歩みと今後の在り方
互助会のシステム
ではここで、冠婚葬祭互助会という組織がどういったものなのか、互助会のシステムについて詳しく見ていくことにしましょう。
互助会の組織、規模、エリア
戦後間もない1948年に生まれた冠婚葬祭互助会は、まだ物資が少ない社会情勢の中で、相互扶助の精神を基盤にして多くの人が出した少額の積立金を集め、そのお金で施設や設備を備えて人々の冠婚葬祭を執り行っていきました。
互助会は全国で、250ほどの組織が運営されており、会員数は約2240万、前受け金額は2兆5000億円という大きな影響力をもっています。
それぞれの互助会は、全国各地で独自に事業展開していますが、一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会という全国208社による業界団体によって、住居を移した会員であっても転居先で積立金を引き継ぐことができるようになるなど、加入者の不都合が生じないように調整されています。
こちらの記事には、売上を含めたトータルの互助会ランキングとしてまとめていますので、ぜひご覧ください。 続きを見る
【互助会ランキング】冠婚葬祭互助会のランキング上位5社を詳細にご紹介!
また、売上による互助会のランキングについては、こちらの記事をご参照ください。⇒「冠婚葬祭 互助会 売上 ランキング」にリンク 続きを見る
【冠婚葬祭互助会売上ランキング】上位5社の特徴とは?コロナの影響と今後の動向
互助会の仕組み
互助会の仕組みとしては、毎月1000円~5000円程の少額の積立を続け、20年程度の長期間に渡って積立を続けます。
会員には結婚式や葬儀費用を一般価格より30%~50%安い会員価格で提供してもらうことができます。その他にも提携会社やお店から会員価格で商品の購入ができたり、会員限定ツアーなども企画されています。
完納後は、互助会が提供するサービスを生涯にわたって受ける権利を保有します。完納前であっても、残金を支払うことで同様のサービスを受けることができます。こうした仕組みが一定の評価を受け、長年にわたって会員を増やしてきました。
互助会の仕組みや成り立ちについては、こちらの記事に詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。 続きを見る
【冠婚葬祭互助会とは】互助会はどういう仕組み?成り立ちや特長等を詳しく説明
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冠婚葬祭互助会の積立金とプラン
次に、冠婚葬祭互助会では積立金をどのように集め、どういったプランを提供しているのか、といったことについてみていきましょう。
互助会の積立金
互助会の積立金は毎月1000円~5000円程度の少額を、5年~10年続けます。トータルの金額は20万~50万円程度になります。このお金で結婚式や葬儀にかかる費用の一部をまかなうのですが会員が積み立てたお金はすぐに使われるわけではないので、互助会でプールし、独自の会館などの建設費用として使われてきました。
多くの会員がいる互助会では豊富な資金を活用し、次々に結婚式場や葬儀会館を立ち上げ、またそこから新たな会員を集めていきます。
互助会は会社として経営されているので、場合によっては経営に行き詰ってしまう可能性もあります。
しかしながら、互助会が経営破綻しても積立金は守られるように、互助会保証株式会社と前受業務保証金供託委託契約を結び2分の1の金額を保全しています。
互助会のプラン
互助会のプランは、大きく結婚式用プラン・葬儀用プランという2つに分かれており、月々の積立金によっていくつか用意されています。
葬儀にかかる費用には、大きく分けて式費用、飲食費用、宗教者費用がありますが、このうち互助会のプランとして割引になるのは、式費用(火葬場使用料は除く)と飲食費用です。全ての費用を積立金で賄うことは難しいので注意が必要です。
互助会の用意するプランは、バリエーションが少なく自分の希望と合わない、というケースも考えられるので、事前にプラン内容の確認をしっかりとしておくことがおすすめです。
互助会が運営する施設
互助会では会員から毎月少額ではありますが、積立金を預かっています。会員数が多い互助会になると、総額では莫大な金額を預かることになります。
会員が積立金を使うのは何十年も後になることも多いので、手元には豊富な資金があることになります。互助会ではこの資金を活用して、結婚式場や葬儀用の会館を立ち上げており、会員は、この施設を優先的に使って式を行うことができるという特典が与えられています。
一時期は、豪華な結婚式場を建てて、その後の資金繰りに困るということもありましたが、最近は、葬儀をメインとした多目的会館を建設し、葬儀以外にもイベントや講演会に利用したりしています。
互助会の退会と返金
互助会の退会や返金手続きをめぐってトラブルが報じられています。どういったところが問題なのか、詳しく見ていくことにしましょう。
互助会の退会トラブル
かつては互助会の退会をめぐってトラブルになり、裁判が行われたこともありました。多くは、互助会の退会をしたいと申し出たができないと言われた、積立金の返金に高額な手数料を取られた、といった内容です。
一部の互助会では、加入の際に十分な説明をしておらず、また、昔は返金に高額な手数料を取っていたところもあったようです。
こうしたトラブルについては、最高裁の判決も出ており、互助会側でも改善を進めています。
互助会の退会手数料
互助会を退会する際には、積立金を返金してもらえるのですが、手数料を引かれることになります。かつては、25%を超える高額な退会手数料をとってトラブルになったこともあったようです。
加入者からしてみれば、積立金は自分のお金で、サービスの利用せずに返金してもらうのになぜそんな高額な手数料を払うのか、納得できないでしょう。
現在では10%~15%ほどの手数料がかかる互助会が多いようです。また、事前に退会手数料についての説明をしっかりとするよう改善されており、トラブルになることは少なくなっています。
互助会の退会手続き
互助会の退会において、手続きをしてもらえない、ということでトラブルになったこともありました。また、たらいまわしにされて、なかなか返金に応じてくれない、という問題もあったようです。
互助会が経済産業省の認可を受けた事業者となってからは、こうした手続きに関しては明白なルールを定め、運営を行うようになっています。
退会手続きについても、提出から45日以内には確実に返金し、手続きを完了させています。万が一、退会の手続きで問題があれば、経済産業省の消費者相談室や全日本冠婚葬祭互助協会 契約者相談室といった窓口で対応してもらえる仕組みがあるので、心配することはなくなっています。
【冠婚葬祭互助会のお金】積立金だけで大丈夫?互助会とお金の問題について解説のまとめ
互助会は社会にニーズに応える形で会員を増やし、積立金を預かることで豊富な資金で発展していきました。
かつてあったトラブルも改善され、明確なルールの下で運営されるようになっています。
今後は、時代のニーズに合った資金の運用やプランの提案をしていくことで、次の時代の互助会を作り上げていくことになります。
これからも人々の生活に冠婚葬祭は残り続けていくものです。互助会はこうした生活に欠かせない冠婚葬祭のサポート役として機能していくことが期待されています。