終活という言葉が聞かれるようになってから10年以上が経過し、私たちの生活にも馴染みがあるようになってきました。
しかし、実際に終活をするとなっても、どこから手を付けて何をすればいいのか、よくわからないという人が大半ではないでしょうか。
今後ますます高齢者の割合が高まっていく社会で、近い将来必ず訪れる死をどのように迎えればいいのか、というのは大きなテーマになっていくでしょう。
この記事では、終活について、なぜ終活が生まれたのかという背景、終活することのメリット、具体的に何をすればいいのか、どういうところに注意すればいいのか、といったことをご紹介していきます。
そろそろ自分の人生の終幕をどうするのか考え始めた方、高齢の親を持つ方には、終活について考えるきっかけになるかと思います。ぜひ最後までお読みください。
終活をするようになった背景
「終活」という言葉はしっかりと私たちの生活に定着するようになりましたが、この背景にはいくつかの社会的な流れが理由として考えられます。
まず大きなながれとしては、少子高齢化ということです。日本では65歳以上の割合が全人口の28%を超えていて、3人に1人が高齢者という超高齢化社会に向かっています。
それに対して出生率は、1947年に4.32だったものが、2019年には1.39にまで下がっています。
このように高齢者が増えて人口が少なくなっていく傾向が明らかになったことで、頼れる家族が少ない、自分で何とかしなくてならないという意識が高まっていきました。
また、高齢化によって認知症の人も増加しています。介護をどうするのか、死亡した後にどうするのか、といったことを元気なうちに考えておかなければ、家族に負担をかけることになることが明らかになっていきました。
そして、家族の死後について語ることが、以前ほど抵抗がなくなってきています。
高齢者自身も、自分の死後、家族に迷惑をかけたくないと思うようになり、生前から準備をしておく、という終活につながっていると思われます。
終活をするメリット
終活をするメリットとして、まず一番大きなことは、今後の自分の生き方をしっかりと考えるきっかけになるということです。
人間だれしも「老い」と「死」を避けることはできません。
自分にも確実にやってくることを想定して準備をすることによってそれまでに何をすればいいのか、明確にすることにつながります。
そして、そこから残りの人生を積極的に生きていこうという気持ちが生まれてくるといいます。
また終活においては、これまでの自分の人生を振り返ることになりますので、そこから今後どうしていきたいか、ということもはっきりと見えてくるでしょう。
もう一つのメリットは、家族の安心感です。
高齢の親がいる家庭では、親の死後のことについて話をしにくい雰囲気があるかもしれません。
その中で親自身が終活をすることによって、財産のこと、葬儀のこと、終末医療のことなどをはっきりさせ、自分の希望を家族に伝えておくことができれば、残された家族の悩みや負担は大きく軽減されます。
そして、三つ目のメリットとして考えられるのは、自分の死後のことに自分の意思を反映させられるということです。
自分の財産をどのように相続させるのか、葬儀はどのように行うのか、お墓はどうするのか、といった死後のことは生前に決めておかなければ自分の意思は反映できません。
終活によって自分の想いをまとめておくことで、死後にもしっかりとその意思を実現することができるのです。
終活とはどんなことをするのか
では、終活とは具体的にどんなことをするのか、ひとつずつ見ていくことにしましょう。
不用品の整理
これまでの長い生活でため込んでしまった不用品を整理します。
たまりがちな、本や洋服、趣味のものなどを整理し、使わないもの不要なものは処分しておきます。
自分一人でやるのが大変であれば、まずは、自分で仕分けをしておき家族の力も借りて整理していくのがいいでしょう。
財産
銀行口座、クレジットカード、不動産、有価証券、保険、車や貴金属などを洗い出し、同時に借金、ローンや分割払いなどもピックアップし、残高や保管場所などの情報を入れてリスト化しておきます。
死後、相続で揉めることがないようにするためには、遺書を作成しておきましょう。
医療・介護
かかりつけの病院や服用している薬について、まとめて記録しておきます。
介護についての自分の希望を記しておきましょう。
また、終末医療をどうするかについても、希望があれば残しておくといいのではないでしょうか。
葬儀・お墓
葬儀を生前に相談しておく人が増えています。
いくつかの葬儀社と相談し見積もりをもらってプランを決めておけばいざというときの家族の負担がなくなります。
先祖からのお墓に入るのか、新たに用意するのか、確認しておきましょう。
菩提寺がどこなのか、誰に相談すればいいのか、といったことも記録しておくといいでしょう。
新たなお墓が必要であれば、墓地の確保や墓石の購入といったことも準備しておくと家族は負担がなくなって助かります。
デジタル
パソコンやスマートフォンを使う人が多くなって、大切な情報やデータが保存されていることが増えています。
パスワードで管理されていれば、それについても記録を残しておきます。
また、死後に見られたくないファイルなどは、整理しておきましょう。
サブスクリプション等の会員サービスを利用していれば、それもリスト化しておきもしもの時の解約の手間を減らしておきます。
連絡先リスト
もしもの時に連絡する親せきや友人、会社の関係先などは、できるだけリスト化しておきましょう。
入院したとき、葬儀のときなどに誰に連絡すればいいのか、がわからないと家族にとって非常に大きな負担になります。
エンディングノート
終活に必要な、これらのことがらをまとめて記録するエンディングノートが書店などで販売されており、多くの人が利用しています。
これ一冊で終活に必要なことがまとまっているので、終活に興味があれば一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
もしものときのために冠婚葬祭の費用を積み立てすることでお得なプランで利用できる互助会があります。
今なら資料請求でエンディングノートが無料でダウンロードできます。
終活はいつからはじめるのか
終活を始めるきっかけとしてよくあるのが、自分の仕事が定年を迎えた、子どもが独立した病気やケガをした、配偶者を亡くしたといったことがあります。
終活を始める時期はいつがいいというのは特段ありませんが、健康なうちに始めるのがいいでしょう。
不用品の整理をしたり、財産を整理して記録したり、葬儀などの見積もりや下見をしたりするには体力が必要ですし、考えなければならないことも多いです。
終活は自分が元気なうちに始めておきましょう。
終活の準備
終活と聞いて、「死ぬための準備」ととらえてしまうと、取り組みに気持ちがついていかないかもしれません。
そうではなく、終活をすることで家族に迷惑をかける心配がなくなり、残りの人生を充実させるための活動と考えると、前向きにとらえることができると思います。
終活の準備として、まず残りの人生をどのように過ごしていきたいかということをまず考えてみてはどうでしょうか。
これまでやってきたことを振り返り、これからやっていきたいことを書き出してみる。
そこに必要なお金や時間、労力などを考えていくと、具体的なイメージができてきて気持ちもポジティブになってきます。
終活のためには、まずこれからのライフプランをしっかり作っていく、ということをおすすめします。
その上で、終活を進めていくためにプランを立てて進めていくといいのではないでしょうか。
終活では、やることが多岐に渡っていて、時間がかかることも多いので計画的に進めていく必要があります。
終活のプランについては、こちらに詳しい記事がありますので、ご覧ください。
終活のプランの作り方
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終活の注意点
終活を始めるにあたって注意すべきことがいくつかあります。
まず、いっぺんに全部やろうとしないということです。
終活にかかわる分野が非常に広いので、全部いっぺんに終わらせようとするとかなり無理があります。
そして、一人ですべてやろうとしないことも大切です。
家族に協力してもらいながらやることで、家族の気持ちも変わってきます。
終活でひととおりやったとしても、時間の経過とともに変わってくる部分があるのでそのへんは柔軟に考えるということも必要になってきます。
こうしたことを頭に入れながら、計画的に進めていくことをおすすめします。
まとめ
人間はいつ死ぬかわかりませんが、いつかは必ず死を迎えます。
そのときに後悔がないよう、そして家族に迷惑をかけることがないようにしっかりと備えておくのが終活です。
人生を憂いなく楽しむためにも、これまで考えたことがなかった人もこの記事をきっかけに、終活について考えてみてはいかがでしょうか。